7月に「島キッチンの10年」をテーマに開催したオンラインイベントの内容を、これまで少しずつブログにしてきましたが、いよいよこれが最終回。
最後に紹介するのは、建築家・安部良さんとともに島キッチンを生み、育ててくださっている東京・丸ノ内ホテルの総料理長・山口仁八郎シェフです。
唐櫃風ラタトゥイユ(調理中) |
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山口シェフが初めて豊島を訪れたのは2009年のこと。
訪れる前までは豊島といえば誰もが口にするのは「ごみの島」という言葉でした。
「本当にそんなことがあるのだろうか?自分の目で見て知りたい!」という気持ちが強くなっていた頃に、芸術祭の話があり、豊島に向かうことになったのです。
家浦港(現在の様子) |
初めて家浦港に足を一歩降ろした瞬間から、「ここは豊かな島だ。この島で島の人たちに何かをしたい!」そんな思いがこみ上げてきたそうです。
その後産業廃棄物不法投棄現場などを見学し、豊島を知れば知るほど、さらに島への思いが強くなり、芸術祭への参加していくことになります。
山口シェフ(右端)と島のお母さん、こえび隊 |
今では、島のお母さんたちも、山口シェフが島キッチンに来るのを心待ちにするようになっていますが、出会ったばかりの頃は、打ち解けるまでに少し時間がかかったそうです。
何度か話し合いを重ねた末に、「なら、一緒にやろうや。」と言ってもらえたときは本当にうれしかった!と話してくれました。
笑顔でお母さんたちとの思い出を語る山口シェフ |
島キッチンは建物の中に島のお母さんたちがいて初めて完成する作品。それは当初から、建築家・安部良さんとも話し合っていたことです。
山口シェフは、お母さんたちが自分たちでできるようサポート役であること、そして、極力ごみを出さず食材を使い切ることを常に意識していたと言います。
そして2010年7月芸術祭開幕と同時に島キッチンがオープン!そこから怒涛の100日間。
賑わう島キッチン! |
昼夜なく厨房に立って料理や仕込みを続けたそうですが、疲れるどころか、楽しくて、楽しくて仕方なかったとのこと。
原動力となったのは「自分たちを受け入れてくれた島のみなさんに恩返しがしたい!たくさんの人に来てもらいたい!」という思いでした。
2010年芸術祭閉幕直後の島キッチンにて |
山口シェフ監修の島キッチンセット(2014年) |
島のお誕生会にシェフ登場!(2018年) |
お客様がほっと一息ついて帰っていく、島キッチンをそんな場所にしていきたい―これがが、山口シェフの思いです。
山口シェフや関わってくれたくさんの人たちのの思いを、私たちもしっかり受け継いでいかなければ!と改めて感じました。